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苫米地英人のコーチング理論を、田舎のSEが現場で試した記録です。
うちのじいさんは仕事のことを何も知りませんが、言うことは大体正しい。

何もしていないのに、二キロ減った

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※ 医療的な助言ではありません。現場で考え、試していることの記録です。  登場人物と場面は、個人が特定できないよう変えてあります。


>> 何もしていないのに、二キロ

健康診断で言われて、体重を測ることにしました。

やったのは、測って書くだけです。
運動もしていません。食事も変えていません。

三ヶ月で、二キロ減りました。

相棒「なんかやったんか」
わたし「測っただけや」
相棒「そんなん効くか」
わたし「効いたな」

自分でも理屈が分からなかったので、少し調べました。


その晩、じいさんが風呂の前で体重計に乗っていました。
乗って、すぐ降りました。

わたし「見たんか」
じい「見んかった」


>> 数字が意識に上がると、無意識が動く

人間の脳には、入ってくる情報を選ぶ仕組みがあります。

以前このアカウントで RAS(網様体賦活系)の話を書きました。
全部の情報を意識に上げると処理が追いつかないので、
重要と判定したものだけを通すフィルターです。

そして何が重要かは、その人が今持っている関心で決まります。

体重を測って書くという行為は、単純ですが、
このフィルターに 「体重は重要」 と教え込むことになります。

すると、こうなります。

  • 二杯目のご飯に、手が止まる
  • 夜中の菓子袋の前で、一瞬考える
  • 歩ける距離を、歩いてみる

意識して我慢したのではありません。気づいたら選び方が変わっていました。

我慢していないので、続きます。
このあたりが、意志で減らそうとしたときと決定的に違うところでした。

もう一つ、効いていたことがあります。

書くと、比較ができるようになります。

一回だけの数字には意味がありません。
毎日並ぶと、線になります。線になると、上がったか下がったかが分かります。

分かると、脳はそれを情報として扱います。
情報になれば、次の行動に影響します。

つまり効いていたのは体重計ではなく、数字が意識に上がった状態でした。


>> 仕事の時間でも試した

同じことを、仕事でやってみました。

作業にかかった時間を、その日の分だけ書きます。
分析はしません。書くだけです。

二週間で、いくつか変わりました。

  • 「三十分の作業」と思っていたものが、実際は一時間十分だった
  • 見積りの根拠が、体感ではなく数字になった
  • 途中で入る割り込みの時間が、初めて見えた

体重と同じで、何かを我慢したわけではありません。
時間が見えるようになったら、勝手に段取りが変わりました。


>> 三週目に、記録が目的になった

ただし、副作用が出ました。

三週目から、記録しやすい仕事を選ぶようになったのです。

きれいに区切れる作業は、記録が気持ちよく書けます。
一方、細かい割り込みが続く日は、記録が汚くなります。

すると、無意識にきれいに書ける日を作ろうとし始めました。
つまり、割り込みの多い仕事を後回しにしていました。

これは本末転倒です。
測るためのふるまいをしているわけですから。

RASのフィルターは、教え込んだものを拾います。
このとき、わたしは「時間が短いこと」ではなく
「記録が美しいこと」を重要だと教えてしまったようです。

そこで、記録の形を変えました。

  ✕  作業ごとに時間を記録する(きれいに書きたくなる)
  ○  一日の終わりに「何に一番時間を取られたか」だけ書く

一行です。分析もしません。
これなら汚くなりようがないので、選ぶ動機が生まれません。

体重のほうは、いまも毎日書いています。
こちらは一行では書けないので、数字のまま続けています。


じいさんが風呂から出てきました。

わたし「体重、なんで見んのや」
じい「見ると、気になるでな」
わたし「気にしたほうがええんやろ」
じい「見んかったら、無かったことになるじゃろ」

たぶん、これは間違っています。

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初出: note